十一代目團十郎
金太郎-高麗蔵(こまぞう)-十一代目團十郎と名前をかえて五十六年の生涯に演じた役々は、三十年後の今も、いささかも色あせることはない。その謙虚な人柄は團十郎襲名の時の句を見てもわかる。「名を負ふて名に価せぬ名取草」
”おじぎの金ちゃん”と仇名されるほど、金太郎時代から腰が低く、色が真黒で目ばかりギョロギョロさせて、人づきあいは下手だったが、礼儀正しさは無類であった。戦後まもなく北海道で夏巡業をしたとき、風呂上がりの暑さに、みんな褌一つで酒になったが、團十郎だけは浴衣をきちんと着ている。そのうち酒がきいてきて、ますます暑くなってくる。すると、團十郎は「ちょっと失礼」とあwざわざことわってまsず片肌をぬいだ。更に酒がすすむと、また「ちょっと失礼「といって両肌ぬぎになり、いよいよ酔ってくると「ちょっと失礼」と、褌一つになったという。いかにも團十郎らしい几帳面な性格がよく出た話だ。
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